理念

理念

公益財団法人日本舞台芸術振興会(略称NBS)は1981年に設立されました。その前身は東京バレエ団を管理運営する制作会社で、東京バレエ団と同時に1964年に設立されましたので、そこから数えますと60年近くの歴史をもっていることになります。
設立の趣旨は、音楽・舞踊を主とする舞台芸術の普及向上を図るとともに、舞台芸術の国際交流を推進して、わが国の芸術文化の振興と発展に寄与することです。活動内容は大きく3つに分けることができます。

  1. 海外から一流の舞台芸術団体、アーティストを招聘し、公演活動を行うこと。
  2. 東京バレエ団を管理運営し、国内外で公演活動を行うこと。
  3. 人材育成事業として東京バレエ学校を管理運営すること。

これらの事業は海外では、ほとんど公共機関が手掛けていますが、わが国では民間に任されています。NBSはこれまでの活動が公益の増進に寄与があったと評価され、2005年には文部科学大臣より〈特定公益増進法人〉に認可されました。2011年には政府の公益法人改革にともない、同年4月1日に内閣総理大臣から〈公益財団法人〉に認定されています。

NBSは舞台芸術を通じ観客に夢や希望を感じてもらうことが使命と考え、通常の公演のほか、心の豊かさや心のケアに通じる活動を推進したいと考えております。また2012年からは次世代の観客の育成と子どもたちに舞台芸術を通じた情操教育の場を提供することを目的に、子どものためのオペラやバレエの公演も積極的に展開しています。

新型コロナウイルスによって全世界が未曾有の難局に直面し、「不要不急」の対象と見なされた舞台芸術は、外出自粛を強いられ甚大な損害を被りました。いかなる状況下にあっても舞台芸術を維持していくためには、財政基盤をいっそう強化しなければならないと、今回のコロナ禍によって思い知らされました。コロナ禍に翻弄される中、緊急寄付やクラウドファンディングの募集に取り組みましたが、たくさんの温かいご支援と応援メッセージを寄せていただき、いまさらながらNBSは多くの方々によって支えられていることをあらためて実感するとともに、責任の大きさを痛感いたしました。「ピンチはチャンス」という言葉がありますが、コロナ危機を逆手に飛躍のチャンスと前向きに捉えたいと思います。

コロナ禍は日本経済に大きな打撃を与え、人々の心を疲弊させました。今後、社会生活が回復していく過程で、人々に希望や勇気を与える芸術文化の果たす役割は大きくなるに違いありません。感動は心を豊かにし、生活に潤いを与えます。気品ある国家をめざすためには芸術文化の振興が欠かせません。

コロナ禍終息後は世界が大きく変わるに違いありませんが、NBSはこれまで以上にわが国の舞台芸術の普及向上に貢献したいと念願しております。より一層の社会的な役割を果たせますよう、皆様のご理解、ご支援を切にお願い申し上げます。